記録2023.07.01—

2023年7月1日からの数日間、Twitterの利用者が経験した出来事について、自由に記録したものを匿名で送信するよう不特定多数の人々に呼びかけました。
以下、送信されたものを受信した日時の順に掲載します。

2023/07/02 13:39

世界に置いていかれないためにTwitterを開き、日々摂取する情報が多くて疲れてきていたところなのでまあいいかという感じ Twitterがなくなれば少し自分を好きになれる気がします 無くなっちゃってもいいよ

2023/07/02 17:09

未だザナドゥを見つけられないネット人民の遊牧民的勝利

 最初わたしも気づいていなかったが、これは勝利なのだ。
我々ユーザーはモンゴル軍だ。掠奪と破壊を繰り返し、結果的にユーラシア大陸の文化を撹拌して繋いでしまったモンゴル軍のように偉大な勝利を‪——とりあえず1戦だが‪——なしえたのだ。

まず現象を説明しよう。7月1日に起きた「読み込めるツイートの制限が600ツイートになった事件」を受けて多数のユーザーは瞬く間にTwitterからの移住をはじめ、日本ではmisskey.io、英語圏ではblueskyなど分散型サービスへ移住・避難した。その後規制が緩和されて多少みられるようになったら「twitterサ終」(サービス終了)がトレンド入りするなど、多くの人が終わりを予期する展開となった。
移住先のmisskeyとblueskyでは人口急増でサーバー落ちが懸念されるほどの負荷がかかって登録が一時停止されるほどの連鎖騒動になった訳だが......

www.techno-edge.net

本当にこの現象は「Twitterが起こしたトラブル」なのか?

冷静に考えてみてほしい。
だって今までにもっと酷い鯖落ちあっただろ?!
読み込めないだけでサービス自体の継続はしていたんだから鯖落ちよりも見ようによってはマシで、すぐに復旧する可能性もあった。(執筆時点(07/02/15:10ではある程度の規制緩和が行われている状況)
しかし鯖落ち時と比較にならないスピードでユーザーがTwitterから離れた。異常な動きを見せたのはユーザなのだ。

だから本件は「Twitter運営がトラブルでユーザーを締め出した」のではない。
「群衆がTwitterを見限った」と捉えるべきだ。
API呼び出し制限」という見慣れない文に驚いたのもあるだろうが、イーロンマスク体制の運営に対する、積もりつもった不信が主な理由だろう。

ではこれはマスクさんの愚かな失敗の結果なのか、といえばそれは半分だけだ。
マスク氏がやろうとしたことはTwitterの経営状況の改善で、そもそもTwitter社はずっと経営難にあえいでいた。システムの運用予算に比べて収入の大半をしめる広告収入が足りない現状が続いていた。
だからこそtwitter運営はマスク氏の前からよくわからない仕様変更をしたり広告の増加をしたりしていた訳だ。

しかし新たに着任したマスク氏は広告頼りの現状を変えようと課金アカウントTwitterブルーを登場させたのだった(昔から噂されていたことではあったが)。

k-tai.watch.impress.co.jp

そこでみんながTwitterブルーにお金を払えば、それで仕様変更は終わり、ことはうまく運んだかもしれなかったのだ。だが大半の人はやらないし継続しなかった。

news.yahoo.co.jp

そして次なる策としてAPIの有料化、それに伴うbotの激減などが起きたのだ。(これは有料化以上に鯖の管理費用を安くする目的と言っていたと思うが)。

まとめると、提示したのはマスクら運営でも、選択の権利を行使して拒否したのは我々ユーザーだったのだ。

我々群衆が露骨で安易なマネタイズを拒否し、それでもタダで使わせろ、スパム対策をもっとやれと至極まっとうな居直りを見せ続け、ボロが出る段になって「こいつはもうだめだ!」とみんなで逃散したのが経緯なのだ。口ではみんなTwitterへのこだわりや愛着を言うがお前たちが見捨ててるんやぞ!

イーロンマスク体制変更の前後ではTwitter社の株価の変動が話題になったが、Twitter(というよりSNS)の本質は運営会社でもサーバでももちろん株でもなく、我々ユーザーなのだということを私は今更に思い知らされた。

なんだかユーザーを悪く言ったように見えるかもしれないが逆で、私は本当に素晴らしいと思った!!!

俺はもう人々は資本主義には勝てないと思っていた…。
富豪が大統領になって差別を扇動し、竹中平蔵が死ぬまで政府のブレーンで、公園がベンチャー企業の手先となり、保険証がポイントカードになるのを止められない世界…...
そこで我々はアナキスティックな勝利を収めたのだ。こんなにすばらしいことはない!

だが人よ安んずるなかれ。SNSは所詮企業の金儲けにすぎないのだから、何かのサービスに安心してはいけない、それは永遠の掟なのだ。
misskeyにも安易に課金するな!(ほんとに便利だったらやってもいいと思いますケド)
俺たちはフリーライドし続ける遊牧民としてあくまでも楽な場所を求め続けるのだ!
卑劣なマネタイズを拒否した結果、勝手に潰れても知らん顔して移住し続けろ!ザッカーバーグアバターを嘲笑しろ!

そうして主権を行使していけば本当に素晴らしいネット空間ができるかもしれない!できないかもしれない!
でも我々が流離しつづけるロマである限りそこに資本の絶対的勝利はないのだ!
今後、けっきょくみんなTwitterに戻っちゃうとしても我々が本質的に「まつろわぬ民」であることを示したことは本当に意味があったと思う。
大富豪も政治家もネット空間ではエロスパムDMと同じ100MBのゴミであることに今一度希望を感じてやっていきましょう。

2023/07/02 22:59

Twitterが壊れた。突然のことだった。
いつものTwitterの不具合かと思って待っていたけれど一向に直る気配がない。
TLは断片的に見えていた。イーロン・マスクのツイートのスクリーンショットが流れてきた。
これは仕様です。無課金者は1日600ツイートまでしか見られません。
あんまりだと思った。それとは別にTwitterなんか見なくても生きていける、生きてやるという気持ちでいた。
その気持ちとは裏腹にInstagramマストドンなどを利用してAPI制限の抜け道を血眼になって探し出して、どうにかイーロン・マスクの策略から抜け出そうとしていた。
Twitterを見るために他SNSにアクティブになる時間が増えていることに気づいてしまい、本当に嫌だった。
ブラウザ版Twitterを使うことでAPI制限から抜け出せることに気がついて嬉しくなってから数時間後、アプリ版のTwitterが復活したことをフォロワー経緯で知った。
ツイートで喜びを示そうとしたらTwitterにスパム認定されていてツイートすることができなかった。
私は別アカウントからツイートしてそれをいつも使用しているアカウントでリツイートすることでツイートしたことにする、という手法を取った。
用途別にアカウントを公開・非公開問わず七つも所有しているのに一つが使えなくなったことによる焦りはとてもあった。
misskeyはあまりにもオタクの嫌なノリ、マストドンはなんか違う、Instagramは喋りまくる感じではない、という感じで結局Twitterに戻ってきてしまう。
Twitterをやめて本を読むことなどができない。脳が常に情報を求めてしまう。
私はツイートができなくて落ち込みつつもずっとVtuberの動画を見て脳に情報を流し込み続けていた。
そして昨日クラブで会った人が下心がない、純粋な気持ちで抱きしめてくれたことを思い出して時々泣いた。
人間を救えるものは純粋な愛と音楽であって、インターネットは必要ないと思ったけれど良い音楽がインターネットから生まれてくることはあるし、人と人との繋がりがインターネットから生まれてくるからこそインターネットから離れられないと思った。
私の好きなものは人間とインターネット。嫌いなものは人間の下劣な感情である。

2023/07/03 2:17

インターネットを空間と捉えるか手段と捉える話がある 自分はかなり空間だと思っているのでいざこうなるとインターネットの“手段”の部分を見せつけられて戦慄する

なんかこういうことは人間関係でもたまにある気がする ついさっきまで怒っていた人が笑っていたり うまい例が出てこないけど

そういう社会の怖さから目を背けすぎてそれがどういう構造をしているのかさっぱり分からなくなってしまった 今は知らないふりをして適当にやり過ごしてるけどいつか痛い目を見ると思う スキップとローファーも二話がそれに近い気持ちになってリタイアしてしまった

でももしかしたら知らないふりをしているだけで自分も同じ振る舞いをしているかもしれない そしたらほんとに怖い 早くここから出してほしい

2023/07/03 3:02

・TLが復活したり復活しなかったりするのはちゃんとした仕様であるという事が今さっき解って、その悲しみを誰もいない部屋に投げようとしたら、既に自分の声すら奪われていたのであった。
だからこういう風にまとめてみる事にする。

・知らなくて怖くてキモい誰かと繋がらない事を望んでいるのと同時に、繋がっていたい人と繋がり続ける事を望んでいる自分がいて、だから外見や声や地位等の、時には余計な要素になるファーストインプレッションをなるべく無視して趣味・嗜好から繋がりを作れるこのツールが大好き。
外に出て何かが解決する訳じゃないのを資本家にも分かりやすく伝えるにはどうしたらいいんだろう?けど、外には実際出た方がいいよね。よくわかってるんだよそんなことは。黙って欲しい。
ジョーク(笑)にくよくよしていたら負けなので夕方は犬の散歩に出た。犬はエレベーターの鏡を直視しない。良い選択だと思った。

・移住先なんてどこにもないのが普通だと思っていた。皆あっさり適応してて凄い。

・アカウントを変えつつももう10年は使っているサービスになる。艦○れのなりきりアカウントとネット上でゲームをしたり、J○SR○Cを叩いたら引リツでキレられてビビってツイ消ししたり、勝手に「分かってくれる」と期待されていつの間にか失望されたり、色々あった。
(その間の現実世界では友達が増えたり減ったりしていて、今はゼロに戻っている。だから今あるネット上の関係が壊れたら、家族とあといくつかの集団を通じてしか社会に接続した感覚にはなれず、そしてそういった感覚はたいてい苦痛を伴う)

・共感として、またLINEの「既読」と同じような感覚で「いいね」を押していた自分にとってそれを奪われるのは最大の苦しみだった。わかってるのにわかってるって伝えられないんだ。一方的な共感の押しつけを互いにダメージなく行う最善の手段はもうダメになってしまっている。どんだけ薄っぺらくても自分が何かを思いながらそういう動作をしていた事を誰かに覚えていて欲しい。

・一方で自分がもらういいねはそのまま自分の喜びになった。ハートの数は自分の存在が他人によって認められた回数を指していた。口がなくなってしまったんじゃもう何もかもどうでもいいが。

正しいセックスを与えられず(また自分から望みもせず)、人間社会をなるべく無機的にした期限付の秘密基地で遊び続けて、そして何も得られずに死ぬ。
それはもう受け入れるけど、実際本当に終わったらどうするんだろう。自分の中で何か変わるとしたら、それはアレがコレに取って代わるぐらいの違いしかない気がする。でも居場所が一個消えたぐらいで絶望して死にたくはないからまた新しいどこかで自分の存在を主張し続けるんだろうな。キモいから。
皆さんはどうするんですか?いつか教えてくださいね。

追記:美しいイラストをブックマークする事も出来なくなったから、本当にやることがなくなってしまった

2023/07/06 16:47

件名:2023_07_06

以下本文

-.-. . -. ... --- .-. . -..

前略、

個人的ライフラインの基準は必須か依存かの二択によって認識されています。

自虐的な「毒インターネット」という呼称は、ある種アイデンティティの確立に
一役買っていたのかもしれません。


さて、先日インターネットが止まって、無限とも思われた「あなたへのおすすめ」は動かなくなり、
ツイ廃よろしくフォロワーのみなさまは観測できなくなりました。

最初こそは困り果ててしまい、どうしたものかと思案しましたが、
にも拘らずアプリを起動する癖は直りません。

相互通信によって醸成されたインターネットでは、
第二の人生をおくれるほどまでに快適な環境整備がなされているようで、
いつの間にか自分が使われている側に回ることもあるようです。


ライフラインの切断は、非常に脅威であるにも拘わらず、
特に実感のないものだと思います。

自身にとってのライフラインは"ほんとうにそう"なのか、
脳は浸食されていないか、
習慣は侵入されていないでしょうか。

現実の確認をお勧めしております。

草々

2023/07/08 02:33

2023/07/09 05:03

運営の明らかに無益な舵取りで自分たちが不便を被ることにイラつきつつ、未だ誕生から日が浅いインターネットの歴史の重大なインシデントに立ち会っているのだという興奮も少なからずあった。例えるなら5ちゃんねるの「8月危機」みたいな、一大サービスの終焉を間近で体験することで普段バラバラのユーザー達が団結し、どうにかしてそのサービスを守ろうとするその一部始終を眺めるのは意外と楽しかった。結果的にtwitterは以前とあまり変わらずに存続するっぽくてとっぴんぱらりのぷぅだし。ただ、あの騒動以来画像ツイートに添付されている画像を拡大表示すると、解像度をそのままに引き伸ばすせいで低画質でしか画像を見れなくなっており、それだけはどうにかしてほしい。これって自分だけなんですかね。